牛黄と世界の歴史

赤ちゃんからお年寄りまで

漢方生薬として牛黄(ゴオウ)の薬効としては「神農本草経」に「驚癇寒熱」(きょうかんかんねつ)という記述があります。
現代の言葉に直すと、驚いて卒倒したモノや高熱で痙攣を起こした者、精神異常をきたした者に効くという意味です。
また、時代が下がって漢の時代の漢方書「名医別録」(めいいべつろく)には、「小児の百病、諸癇熱で口の開かぬ者、大人の狂癲を療ず。」とあり、つづけて「久しく服すれば身を軽くし、天年を増し、人をして忘れざらしめる。」と記されています。
これはゴオウが「子供のあらゆる病気、口も開けないほどの高熱、大人の精神錯乱など幅広い症状」に用いることのできるお薬で、しかも長期に渡って服用すると「寿命を延ばし、物忘れをしなくなる」働きも期待できることを示しています。
ゴオウは赤ちゃんからお年寄りまで、年齢、性別を問わず使える貴重な生薬です。

高貴薬

5世紀頃、北インドで成立した大乗仏教。
大乗仏教の主な教典のである「金光明経(こんこうみょうこう)」にもサンスクリット語で牛黄のことが「ゴロカナ(漢字は難しすぎて表記できませんでした)」という名で書かれています。
これから想像すると、午大生は中国かインドで薬として使われ初め、仏教と共に朝鮮半島を経て、奈良朝以前に日本へ伝わってきたと考えられます。

東洋では古くから知られていましたが、西洋でもペルシャを通じて伝わっていきました。
英語でbezoar、フランス語でbezoardと呼ばれていました。
語源は、ペルシャ語のpadzahrから来たようです。
Padは「除く」、zahr「毒」という意味。
どうやら「解毒剤」という意味のようです。
西洋に伝わった牛黄は、16世紀に入るとポルトガル人やオランダ人によって再び日本へもたらされました。
ポルトガル人は「ペドロ・ベゾアル」と言っていたのですが、日本人には「ヘイサラバサラ」と聞き間違えていたようです。
そのため、牛黄とは違うモノ、と勘違いしていました。
しかし、江戸時代の百科事典「和漢三才図会」を見ると、鮓荅(さとう)という項が牛黄と並んで書かれています。 この鮓荅の別名に「ヘイサラバサラ」「ヘイタラバサル」とです。
解説では、この二つの名前はオランダ語となっていて、鮓荅は牛黄を含む獣類の胆石の総称で、それぞれ牛のモノを牛黄、鹿のモノを鹿玉(ろくぎょく)、犬のモノを拘宝(こうほう)、馬のモノを馬墨(ばぼく)など薬用である、となっています。

江戸時代の人は、正しい知識を持っていたようです。

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