耳鳴りと耳鳴って同じ
漢字ってスゴいよね。
同じ漢字でも、読みが違うだけで、症状がイメージできるんですから。
耳鳴りは自分の回りでしているはずの音、意外の様々な音が聞こえる症状のこと。
よく相談されるのがゴー、ザー、ジーという低い音、キーン、ピー、ミーンという高い音などです。
これらの音の大きさや鳴る頻度はいろいろで、特に、音の高さについては、本人の感覚なので、なかなか共感できないんです。
小さな音がストレスや疲れがたまった時のみ現れたりする場合や、寝る前の静かな場所でだけ起きたりすることが多く相談されます。
高齢での耳鳴りは重症の場合が多く、他の音が聞こえない、精神的につらくなる、会話ができなくなるなどの症状で、ときには24時間継続的に聞こえるという場合もあります。
耳鳴り症状だけでなく、同時に、肩こり、めまいや立ちくらみ、頭痛などの症状が現れることも特徴かもしれません。
基本、耳に原因のあるものは耳鼻科ですが、まれに、対応できないこともあります。
耳鳴りには腎を強化する生薬を
以前にも書きましたが、中医学(中国漢方)は原因不明という言葉がありません。
耳鳴りについても、現代医学では原因がよくつかめないことが多いのですが、中医学(中国漢方)では、五官(鼻・目・口・舌・耳)と五臓には一定のつながりがあると考えられていますり。
原因を探すためのポイントとして耳と腎は、とても関係の深い器官なんです。
漢方の古典「黄帝内経」には、「腎は耳に通じる」「腎が健康なら、五音を聞き分けることができる」との記述があります。
どうやって気づいたのか、わかりませんが、これを言い換えると耳の状態は腎の健康状態を表しているといえます。
この場合の腎には、現代医学でいう腎臓の働き以外に、中医学(中国漢方)では内分泌(ホルモン)系、脊髄、脳の働きまでの幅広い意味があります。
「神は精を蔵す。精は髄を生じ、脳は髄の海」という漢方の考えから、腎の精は髄を生じ、脳に集まって耳を養うということに。
そして、病気による消耗や老化による腎精の不足から、脳が空虚になり、耳鳴りを引き起こすとされています。
腎の衰えからくる虚証の耳鳴りは、ジージーとセミが鳴くような小さな音が持続し、まわりが静かになった夜間など、特に気になるといった特徴があります。
この他にも、眠りが浅い、のぼせ、イライラ感といった陰虚陽亢の症状を伴うことも。
治療は、腎を強化する補腎薬を中心に調整します。
まずは腎の精を補う成分に、頭部の興奮を鎮めて精神安定作用のあるものを加えた処方を基本に、症状によって他の処方や生薬を追加した漢方薬をしようしていきます。