「赤ちゃんのためにやめなきゃいけないのは、わかっている。でも、やめられない」

そう思って自分を責めている方に、まずお伝えしたいことがあります。

それは、あなたの意志が弱いからではありません。

妊活中や妊娠中の禁煙・禁酒がむずかしいのには、ちゃんとした理由があります。体のしくみの問題であり、心の問題であり、そして周りの環境の問題でもあるのです。

この記事では、なぜむずかしいのかを一緒に整理しながら、中医学の視点も交えて、「責めずに続ける方法」をお話ししていきます。

「わかってるのにできない自分」を、少しだけ許してあげられたら。そこから、意外と道は開けていきます。

なぜ、こんなにむずかしいのでしょう

理由1:ストレスの逃げ道になっているから

妊活中や妊娠中は、体にも心にも大きな変化が起こります。

将来への不安。うまくいくのだろうかというプレッシャー。周りからの何気ない一言。仕事との両立。そういったストレスは、思っている以上に積み重なっています。

つらいとき、人は何かで気持ちを落ち着けたくなります。そこで、タバコやお酒が「心の支え」になってしまう。これはごく自然なことです。

タバコもお酒も、その瞬間は確かにほっとさせてくれます。だからこそ、不安を抱えているときほど、手放しにくくなるのです。

問題は、それが根本的な解決にはならないという点です。むしろ、そのあとに罪悪感が押し寄せて、余計につらくなってしまう。この悪循環に、多くの方がはまっています。

中医学で見ると:「気」が滞っている状態

中医学では、ストレスや不安は「気(き)」の滞りを引き起こすと考えます。

「気」は、体を動かすエネルギーであり、心の元気でもあります。これが滞ると、体のエネルギーがスムーズに流れなくなり、気持ちも不安定になりやすくなります。

タバコやお酒でひと息つきたくなるのは、この滞った「気」を、なんとか動かそうとしているサインとも言えます。体は、ちゃんと助けを求めているのです。

ですから、ただ「やめなさい」だけでは足りません。滞った「気」を、別の方法でめぐらせてあげること。これが、遠回りに見えて、いちばん確実な方法です。

理由2:ホルモンの変化が関係しているから

妊娠中は、体の中でホルモンが大きく変動します。この変化は、感情の起伏を大きくし、不安やイライラを感じやすくさせます。

さらに、ホルモンの影響で、脳の「報酬系」と呼ばれる部分が敏感になることがあります。すると、タバコやお酒による一時的な心地よさが、いつもより強く感じられてしまう。やめることが、いっそうむずかしくなるわけです。

中医学では、こうした変化を「陰陽(いんよう)」のバランスでとらえます。妊娠中は「陰」が増え、「陽」が不足しがちになる。それで気持ちが沈みやすくなり、なんとか気分を上げようとしてタバコやお酒に手が伸びる、という見方です。

つまり、体の変化がそうさせている面が、確かにあるのです。「自分がだらしないから」ではありません。

理由3:周りの環境が整っていないから

これは、意外と大きな要因です。

パートナーや家族、友人が普通に吸ったり飲んだりしている中で、自分だけがやめ続ける。これは、想像以上にむずかしいことです。

とくに、周りが無関心だったり、「そんなに神経質にならなくても」と言われたりすると、孤立感が生まれます。「なんで私だけが」という気持ちになるのは、当たり前のことです。

中医学では、家庭の「和」を保つことが健康にとって大切だと考えます。家族の支えがあると「気」の流れが整い、心が安定する。逆に、ひとりで戦っている状態は、それ自体が体への負担になるのです。

「少しなら大丈夫」と思ってしまうとき

ここは少しだけ、正直にお話しさせてください。

やめられないとき、人は自分を守るために、いくつかの理由を用意します。それはとても人間らしいことです。ただ、その理由が自分を苦しめ続けることもあるので、一度だけ、一緒に見てみましょう。

「少しくらいなら平気でしょう」

これはいちばんよくある考え方です。ただ、少しの量でもリスクはあり、それは無視できないものだと考えられています。

中医学の見方でも、わずかな「毒」であっても「気」の流れに影響を与え、体のバランスを崩す原因になると考えます。

でも、ここで大切なのは、これを読んで落ち込むことではありません。「じゃあ、どうやったら減らせるか」を考えることです。ゼロにできなくても、減らすことには意味があります。

「やめるストレスのほうが体に悪いのでは」

これもよく聞く考え方です。確かに、ストレスの影響は小さくありません。

でも、順番が逆なのです。タバコやお酒は、その場ではストレスを和らげているように見えて、実際には「気」の滞りを強め、眠りの質も落としていきます。長い目で見ると、ストレスを増やす方向に働いてしまうのです。

だからこそ、必要なのは「我慢する力」ではなく、「別のストレス解消法を持つこと」です。

「みんなやっているから」

周りの人が吸っている、飲んでいる。だから自分も大丈夫。そう思いたくなる気持ちは、よくわかります。

でも、あなたの体は、あなたのものです。周りに流されるのではなく、自分にとって何が大切かを、一度落ち着いて考えてみてほしいのです。

責めずに続ける、5つの方法

さて、ここからが本題です。どうすれば、自分を追い込まずに続けられるのでしょうか。

1. まず、パートナーを巻き込む

これが、いちばん効果があります。

パートナーも一緒に禁煙・禁酒に取り組むこと。それだけで、孤立感がなくなります。「ひとりで我慢している」から「ふたりで取り組んでいる」に変わるだけで、続けやすさがまったく違ってきます。

伝え方は、こんなふうでいかがでしょう。

「責めているわけじゃないんだけど、ひとりだとどうしてもつらくて。一緒にやってくれたらすごく助かる」

お願いとして伝えるほうが、相手も動きやすいものです。なお、男性側の体づくりについては こちらの記事 でも詳しくお話ししています。よければ一緒に読んでみてください。

2. 「やめる」より「置き換える」

いきなりゼロを目指すと、反動が来やすくなります。

代わりになるものを見つけるほうが、うまくいくことが多いです。たとえば、こんなものはいかがでしょう。

  • 温かいノンカフェインのお茶をゆっくり飲む
  • 気分の変わる香りを用意しておく(アロマやハーブ)
  • 5分だけ外に出て、深呼吸する
  • 手持ちぶさたなら、ナッツや小魚などを少しつまむ
  • お風呂の時間を、少しだけ丁寧にする

大事なのは、「我慢する」ではなく「別のもので満たす」という発想です。

3. 中医学のリラックス法を取り入れる

タバコやお酒に代わって「気」をめぐらせる方法は、いくつもあります。

鍼灸(しんきゅう)
体のツボを刺激して、「気」の流れを整えます。深いリラックスを感じる方が多い方法です。

気功(きこう)
呼吸法とゆったりした動きで、「気」のバランスを整えます。特別な道具がいらず、家でもできるのが利点です。

薬膳(やくぜん)
体の状態に合わせた食材を使ったお料理です。「気」を補い、心と体のバランスを整える助けになります。難しく考えず、「今の自分に合うものを食べる」くらいの感覚で大丈夫です。

こうした方法は、どれも即効性を狙うものではありません。でも、続けるうちに「そういえば、あまり欲しくならなくなったな」という変化が訪れることがあります。

4. 「なぜやめたいか」を、自分の言葉にしておく

目標があいまいだと、気持ちが揺れたときに支えがなくなります。

「赤ちゃんの健康のために」でもいいですし、「自分の体調を整えたいから」でも構いません。大事なのは、誰かに言われたからではなく、自分の言葉になっていることです。

紙に書いて、目に入るところに貼っておく。スマホの待ち受けにする。そんな方法も、意外と効きます。

5. できた日を、数える

これがいちばん大切かもしれません。

できなかった日を数えると、気持ちはどんどん沈んでいきます。そうではなく、できた日を数えてください。

「今週は3日できた」。それは立派な前進です。前の週が0日なら、3日分ちゃんと変わっています。

中医学でも、「心の持ちよう」は健康に大きく影響すると考えます。小さな達成を積み重ねることで「気」の流れが整い、前向きな気持ちで取り組めるようになります。

完璧を目指すと、一度の失敗ですべてが崩れてしまいます。でも「昨日より少し」を目指せば、崩れようがありません。

自分を責めそうになったときは

うまくいかない日は、必ずあります。

そんなとき、「やっぱり私はダメだ」と思ってしまうかもしれません。でも、思い出してください。

あなたがやめようとしていること自体が、すでにお子さんのことを、そして自分の体のことを大切に思っている証拠です。

うまくいかないのは、意志の問題ではありません。体のしくみと、心の状態と、周りの環境が絡み合っているからです。だから、ひとりで解決しようとしなくていいのです。

つらいときは、誰かに話してください。パートナーでも、ご家族でも、私たちのような相談先でも構いません。声に出すだけで、「気」は少し動き始めます。

まとめ

  • 禁煙・禁酒がむずかしいのは、意志が弱いからではありません
  • ストレス、ホルモンの変化、周りの環境。3つが絡み合っています
  • 中医学では、滞った「気」をめぐらせることを大切にします
  • ひとりで頑張らず、パートナーを巻き込むのがいちばんの近道
  • 「やめる」より「置き換える」。完璧より「昨日より少し」
  • できなかった日ではなく、できた日を数えましょう

無理をせず、周りと協力しながら、少しずつ。それがいちばん確実な道です。

ひとりで抱え込まないでください|くすりの厚生会

青森市のくすりの厚生会では、妊活中・妊娠中の体調管理やストレスとの向き合い方について、ご相談をお受けしています。

  • 初回カウンセリング無料(ご予約制)
  • ご夫婦でのご相談も歓迎です
  • オンライン相談にも対応しています

「やめられなくて相談するのが恥ずかしい」

そんなふうに思う必要はまったくありません。私たちは、責めるためにお話を聞くのではありません。どうすれば楽になれるかを、一緒に考えるためです。

体質に合わせたリラックスの方法や、食養生のご提案もできます。どうぞお気軽にお声がけください。

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