「気づいたら、私ばかりが調べて、私ばかりが病院に通っている」
妊活のご相談で、この言葉を聞かない月はありません。基礎体温をつけるのも、食事に気を配るのも、婦人科に足を運ぶのも、いつのまにか自分ひとり。夫は悪気なく、でも他人事のように見える。そのことがつらい、と。
もしあなたが今、そんな気持ちを抱えているなら。この記事を、ぜひパートナーの方にも読んでいただきたいのです。
妊活は、女性だけのものではありません。それは気持ちの問題としてだけでなく、体のしくみの話としても、はっきりそう言えます。
まず知っていただきたいこと:原因の約半分は男性側にもあります
「検査を受けたら、原因の半分は自分だった」
こんにちは。青森市の「くすりの厚生会」店長で、中医学の専門家の岩本です。
実は私自身も、不妊治療を経験した男性のひとりです。妻とふたりで検査を受けたとき、「原因の半分は男性側にもある」と言われ、正直、強いショックを受けました。それまで、どこかで「自分は関係ない」と思っていたのだと思います。
その後、漢方と体質改善を続け、私たちは双子を授かることができました。
この経験を通して学んだのは、年齢や検査の数値よりも、「夫婦で体を整える時間」こそが、いちばんの力になるということです。
40代から起こりやすい変化
近年の研究では、不妊の約半分は男性側にも原因があると報告されています。とくに40代以降は、次のような変化が起こりやすくなります。
- 精子の運動率や濃度の低下
- DNAの損傷率の上昇(体のサビつき=酸化ストレスの影響)
- 睡眠不足・ストレス・冷えによるホルモンバランスの乱れ
これらはすべて、「体の疲れ」や「めぐりの悪さ」から始まっています。
つまり、特別な病気というより、忙しく働く40代の男性の多くが抱えている、日常の延長線上にあるものなのです。だからこそ、生活を整えることで変えられる余地があります。
中医学では、どう考えるのでしょう
カギになるのは「腎」と「気」
中医学では、男性の生殖力は「腎(じん)」の働きと深く関わると考えます。
ここで言う「腎」は、腎臓という臓器だけを指すのではありません。生命力そのもの、ホルモンのバランス、そして体の根っこにある元気。そういったものを含んだ、大きな概念です。
そしてもうひとつが「気(き)」。体を動かすエネルギーであり、心の元気でもあります。
この「腎」や「気」が弱っている状態を、中医学では腎虚(じんきょ)、気虚(ききょ)と呼びます。生命エネルギーが下がっている、というとらえ方ですね。
男性によく見られる3つのタイプ
| タイプ | よくある症状 | 中医学での見方 |
|---|---|---|
| 腎虚タイプ | 冷え、腰痛、だるさが抜けない | 生殖の力が低下、根っこの元気が不足 |
| 気虚タイプ | 疲れやすい、やる気が出ない | 気が足りず、精子をつくる力が弱まる |
| 瘀血(おけつ)タイプ | 体がこる、顔色が暗い | 血のめぐりが悪く、栄養が届きにくい |
ご自身に、あるいはパートナーに、当てはまるものはありましたか。
大切なのは、タイプによって整え方が変わるということです。同じ「疲れやすい」でも、原因が違えば、必要なアプローチも違ってきます。だからこそ、体質を見てもらうことに意味があるのです。
よくある疑問:「温める」と「冷やす」、どっちが正解?
実は、どちらも正しいのです
ご相談やSNSでとてもよくいただく質問があります。
「下半身を温めるのがいいと言うけれど、睾丸は冷やしたほうがいいのでは? 矛盾していませんか」
とても鋭い質問です。そして答えは、「どちらも正しい」。現代医学と中医学、それぞれが違う部分の話をしているからです。順に説明しますね。
現代医学の見方:睾丸は「温めすぎない」が正解
精子は、体温より2〜3℃低い温度でいちばんよく作られます。だから睾丸は体の外側にあり、自然に温度を調節できる構造になっているのです。
ですから、次のようなことは避けたいところです。
- 長時間のサウナ、熱すぎるお風呂での長風呂
- 体に密着した下着や、きついズボン
- ノートパソコンを膝の上に置いて長時間作業する
つまり、「睾丸そのものを温める」のは避けたほうがよい、ということですね。
中医学の見方:温めるのは「体のめぐり」
一方で、中医学でいう「下半身を温める」とは、骨盤や腰、下腹部、足を温めて、血のめぐりと「気」のめぐりをよくすることを意味しています。
下半身のめぐりが滞ると、必要な酸素や栄養が届きにくくなります。すると、精子をつくる力も弱まってしまう。だから中医学では、「温める=めぐらせる」なのです。
同じ「温める」でも、指している場所がまったく違う。だから矛盾しないのですね。
両方をバランスよく取り入れるには
| 部位 | おすすめのケア | 理由 |
|---|---|---|
| 腰・下腹部 | 温熱パッドやカイロはOK | 血のめぐりを促す |
| 足先・ふくらはぎ | 温めて冷えを防ぐ | 全身のめぐりが改善 |
| 睾丸(陰嚢) | 通気性を保ち、温めすぎない | 適温(34〜35℃)を保つ |
実践のポイントは、この4つです。
- 湯船は40℃前後、10〜15分ほどに(長風呂は避ける)
- 通気性のよい下着(トランクスタイプ)を選ぶ
- 温めるなら下腹部や腰に。睾丸への直接の温熱は避ける
- 冬は足首やふくらはぎを冷やさない
「冷やす」ではなく「めぐらせる」。これが中医学でいう「温める」という考え方です。
男性が今日から見直せること
難しいことは必要ありません。まずは続けやすいところから。
- 寝不足を放置しない
- 喫煙の習慣を見直す
- お酒の量を増やしすぎない
- 極端に太らないようにする
- 外食ばかりにならないようにする
具体的には、夜食を減らす。コンビニのごはんにゆで卵やサラダをひとつ足す。週に何日かは早く寝る。休日だけでも散歩する。このくらいでも、十分に意味があります。
そして、体を冷やさないこと。デスクワークで長時間座りっぱなしの方は、1時間に一度立ち上がって伸びをするだけでも違います。下半身のめぐりは、座り続けることでいちばん滞りやすいのです。
焦りは、体にも影響します
ストレスが「気」を止めてしまう
妊活が長引くと、どうしても焦りや不安が出てきます。この気持ちは、心の問題だけにとどまりません。
焦りや不安が続くと、ストレスホルモン(コルチゾール)が増え、性ホルモンの分泌を抑えてしまうことがわかっています。
中医学でも、心のエネルギーである「気」が不足すると、気力が湧かず、体のめぐりも悪くなると考えます。逆に言えば、「気を補う」ことで心が落ち着き、体も自然と整っていくのです。
「リラックスしてね」と言われても難しいですよね。でも、体を整えることが心を整えることにもつながる、という順番なら、取りかかりやすいのではないでしょうか。
夫婦で取り組むことが、いちばんの支えになります
妊活の話になると、女性ばかりが調べ、女性ばかりが我慢し、女性ばかりが受診する。そういう形になりがちです。でもそれでは、心の負担が大きく偏ってしまいます。
一緒に食事を整える。一緒に禁煙に取り組む。一緒に生活リズムを見直す。
小さなことのようですが、これはとても大きな支えになります。「ひとりで背負っていない」という感覚は、想像以上に人を楽にします。
男性のみなさんへ
もしこの記事を、パートナーの方に勧められて読んでくださっているなら。ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。
それだけで、もう十分に一歩を踏み出しています。
私自身、検査結果を聞いたときは落ち込みました。でも、その後の数年間を振り返って思うのは、あの時期は「夫婦で体を整える時間」だったということです。結果として双子を授かりましたが、それ以上に、ふたりで同じ方向を向けたことのほうが大きかったと感じています。
40代のご夫婦へ、お伝えしたいこと
不妊治療の結果を左右するのは、「焦らずに体を整えられるかどうか」だと、私は考えています。
中医学は、体を治す方法であると同時に、「夫婦の時間を取り戻す」ものでもあります。一緒に食事を見直す。一緒に早く寝る。一緒に歩く。その時間そのものが、実は大きな意味を持っています。
40代でも、体質を変えることは十分に可能です。年齢という数字ではなく、「めぐり」と「バランス」が鍵になります。
まとめ
- 不妊の原因の約半分は、男性側にもあります
- 40代からは「精子の老化」が起こりやすくなりますが、生活で変えられる余地があります
- 中医学では「腎」と「気」のバランスを整えることを大切にします
- 下半身は温める、睾丸は温めすぎない。どちらも正しく、両立できます
- 焦りやストレスは、体にも影響します
- 夫婦で取り組むことが、いちばん続きやすく、いちばん支えになります
妻がひとりで頑張る妊活から、ふたりで整える妊活へ。その一歩を、今日から踏み出してみませんか。
ご夫婦でのご相談を承っています|くすりの厚生会
青森市のくすりの厚生会では、男女それぞれの体質に合わせた不妊・妊活のサポートを行っています。
- 初回カウンセリング無料(ご予約制)
- ご夫婦でのご相談OK(おひとりでも大丈夫です)
- オンライン相談にも対応
「夫を連れて行っていいのかな」と迷われる方も多いですが、まったく問題ありません。むしろ、おふたりでお越しいただけると、お話がとてもスムーズに進みます。
まずは体質チェックからでも構いません。お気軽にご相談ください。
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