eGFRだけではわからない?腎機能低下を見逃さないための見方と中医学的サポート

健康診断で「eGFRが少し下がっています」と言われると、不安になる方はとても多いです。
数字だけを見ると、「もう透析に近いのでは」「腎臓がかなり悪いのでは」と心配になるかもしれません。

けれど、最初にお伝えしたい大切なことがあります。
eGFRはとても大切な検査値ですが、eGFRだけで腎臓の状態を決めることはできません。

今の慢性腎臓病(CKD)の見方では、eGFRと尿アルブミン(UACR・ACR)を合わせて確認することが基本です。

つまり、eGFRの記事を読むときに本当に大切なのは、
「この数字は何を意味するのか」
「今の自分は何を確認すべきか」
「何を自己判断してはいけないのか」
を整理することです。

この記事では、eGFRの基本から、CKDの新しい見方、尿アルブミンの重要性、受診の目安、生活習慣の見直し方、さらに中医学でどう支えていくかまで、初心者の方にもわかりやすくまとめます。

結論 eGFRは大事ですが それだけで腎臓の状態は決まりません

結論から言うと、eGFRは腎機能を知るための重要な目安です。
ただし、eGFRだけで「正常」「異常」「透析が近い」と決めるのは危険です。

理由は、慢性腎臓病は血液検査だけでなく、尿検査も含めて判断する病気だからです。

たとえば、eGFRが60以上でも、尿アルブミンが多ければ腎障害を疑います。反対に、年齢や体格の影響でeGFRが少し低めでも、すぐに重い腎不全と決めつけるわけではありません。まずは、その数値が一時的な変化なのか、持続しているのか、尿に異常があるのかを一緒に見ることが大切です。

ですから、健康診断でeGFRを指摘されたときは、数字だけを見て落ち込むのではなく、

  • 尿たんぱくはどうか
  • 尿アルブミンはどうか
  • 血圧や血糖はどうか
  • 以前と比べて変化しているか

を落ち着いて確認することが大切です。

eGFRとは何かをやさしく説明します

eGFRは、推算糸球体ろ過量のことです。
簡単に言うと、腎臓がどれくらい血液をこして、老廃物や余分な水分を体の外へ出せているかを見積もった数字です。

腎臓は、体の中の不要なものを捨て、必要な水分や電解質のバランスを整える大切な臓器です。eGFRは、その働きのおおよその目安として使われています。

ただし、ここで注意したいことがあります。
eGFRはあくまで推算値です。計算にはクレアチニンが使われるため、筋肉量、年齢、性別、体格などの影響を受けます。筋肉量が少ない方では見かけ上高めに出ることもありますし、逆に筋肉量が多い方では低めに出ることもあります。だからこそ、1回の数字だけで判断しすぎないことが大切です。

CKDはeGFRと尿アルブミンで見る時代です

慢性腎臓病の見方は、以前よりかなり整理されています。
今は、G分類とA分類を組み合わせて考えるのが基本です。

G分類とは

G分類はeGFRによる分類です。

  • G1:90以上
  • G2:60~89
  • G3a:45~59
  • G3b:30~44
  • G4:15~29
  • G5:15未満

特にG3aとG3bを分けるのは大切で、30~59をひとまとめにすると、進行リスクや管理の重みが見えにくくなります。

A分類とは

A分類は尿アルブミンでみる分類です。

  • A1:正常から軽度上昇
  • A2:中等度上昇
  • A3:高度上昇

尿アルブミンは、腎臓のフィルターが傷んでいるサインになることがあります。

このため、たとえばeGFRが70でも安心しきれない場合がありますし、eGFRが58でも、すぐ透析の話になるわけではありません。大切なのは、GとAを合わせてみることです。

eGFRの数字ごとの見方

eGFR 90以上

この範囲だと「正常」と思われやすいのですが、ここにも注意点があります。
腎障害の証拠がなければCKDではないという見方が基本です。逆に言えば、eGFRが90以上でも尿アルブミン異常などがあれば、腎臓に問題があることがあります。

eGFR 60~89

この範囲もよく誤解されます。
この数字だけで「軽い腎臓病」とは言えません。年齢とともにeGFRが少しずつ下がることは珍しくなく、重要なのは、尿所見や画像所見など、ほかの腎障害の証拠があるかどうかです。

eGFR 45~59(G3a)

このあたりから、しっかり経過を見る意味が大きくなります。
まだ自覚症状がはっきりしない方も多いですが、原因の確認、血圧や糖尿病の管理、尿アルブミンのチェックが大切になります。CKDは初期には無症状のことが多く、血液検査や尿検査で見つかるケースが少なくありません。

eGFR 30~44(G3b)

この段階では、腎機能低下の意味がより重くなります。
進行リスクや合併症のリスクが高まりやすいため、自己判断で放置しないことが重要です。血圧、血糖、薬の見直し、食事内容などを含めて、より丁寧な管理が必要になります。

eGFR 15~29(G4)

この段階は高度低下です。
症状が目立ってくる方もいますが、症状だけで判断できるわけではありません。腎臓内科との連携が重要になる段階で、透析や腎代替療法の説明が始まることもあります。

eGFR 15未満(G5)

ここまで低下すると、腎不全の段階です。
ただし、透析開始はeGFRだけで決まるわけではありません。症状、体液量、電解質異常、栄養状態などを含めて判断されます。

症状がないから安心 とは言えません

腎臓の病気で怖いのは、早い段階では症状が出にくいことです。
慢性腎臓病は初期には症状がないことが多く、進んでから疲れやむくみ、息切れ、吐き気などが出ることがあります。

つまり、

  • むくみがないから大丈夫
  • だるくないから大丈夫
  • 尿が出ているから大丈夫

とは限りません。

健康診断でたまたま血液検査と尿検査を受け、そこで初めて異常が見つかることは珍しくありません。CKDは、自覚症状より先に検査値が動く病気と考えたほうがわかりやすいです。

eGFRが下がる主な原因

eGFRが下がる原因はひとつではありません。
慢性腎臓病の主要な原因として、糖尿病と高血圧が重要とされています。

ほかにも、次のような要因が関係します。

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 糸球体腎炎などの腎臓病
  • 遺伝性の腎疾患
  • 加齢
  • 脱水や急性腎障害の影響
  • 薬剤性
  • 肥満、喫煙、生活習慣の乱れ

特に見落とされやすいのが、市販薬や痛み止めです。イブプロフェンなどのNSAIDsは、長期使用や脱水時の使用で腎臓に悪影響を与えることがあります。

「風邪薬や痛み止めくらい大丈夫」と思いやすいのですが、腎機能に不安がある方ほど、自己判断で続けないことが大切です。

eGFRが下がったときに最初に確認したいこと

健康診断でeGFRを指摘されたら、まず確認したいのは次の点です。

1. 尿たんぱくや尿アルブミンはどうか

これがとても重要です。
eGFRだけではなく、尿にアルブミンが出ているかどうかで、腎障害の意味合いが変わります。

2. 以前の数値と比べてどうか

1回だけの異常なのか、前から下がってきているのかで意味が違います。
CKDは3か月以上持続する腎障害で評価されます。

3. 血圧と血糖はどうか

高血圧と糖尿病は、腎機能低下の大きな要因です。
ここが乱れていると、腎臓への負担が続きやすくなります。

4. 飲んでいる薬やサプリは何か

痛み止め、風邪薬、サプリメント、健康食品を含めて確認が必要です。
腎機能が低下している方では、一般用医薬品や健康食品でも注意が必要なことがあります。

受診を急いだほうがよいサイン

eGFR低下を指摘された方の中には、「様子を見ればいいのか」「すぐ受診したほうがいいのか」で迷う方も多いです。

次のような場合は、早めに医療機関へ相談したい状態です。

  • eGFR低下が続いている
  • 尿たんぱくや尿アルブミンを指摘された
  • むくみが強い
  • 息切れがある
  • 吐き気、食欲低下がある
  • 血圧が高い
  • 糖尿病の管理が不安定
  • 市販薬やサプリをいくつも使っている
  • 家族に腎臓病がある

生活習慣で見直したいこと

CKDの治療は、薬だけではありません。
塩分制限、禁煙、適度な運動、体重管理、アルコールの見直しなど、基本的な生活習慣の改善が大切です。

大切なのは、極端なことをするより、腎臓に負担をかけ続ける生活を減らすことです。

塩分を摂りすぎない

塩分が多いと血圧が上がりやすく、腎臓にも負担がかかります。

血圧と血糖を放置しない

高血圧と糖尿病は、腎機能低下の進行と深く関わります。

市販の痛み止めを習慣化しない

NSAIDsの長期使用や脱水時の使用は注意が必要です。

自己流のサプリを増やしすぎない

「自然なものだから安全」とは限りません。腎臓に不安がある方ほど、成分や飲み合わせの確認が必要です。これは、漢方や健康食品にも同じことが言えます。

中医学では腎機能低下をどうみるのか

ここからは、くすりの厚生会らしく、中医学の視点も整理します。
ただし最初に大切なのは、中医学は現代医学の検査の代わりではないということです。eGFR、尿アルブミン、血圧、血糖などの客観的な検査は必ず土台に置き、そのうえで中医学的な見方を重ねていくことが大切です。

中医学では、腎機能低下の背景を一つの言葉だけで決めつけません。
よくみる視点としては、次のようなものがあります。

腎虚

年齢とともに衰えやすい土台の弱り、疲れやすさ、冷え、足腰の弱さ、頻尿、むくみなどが重なる方にみられることがあります。

瘀血

血の巡りが悪く、慢性的な負担が続いているタイプです。高血圧や動脈硬化の背景を考えるときにも、中医学では無視しにくい視点です。

痰湿

水分代謝の乱れ、むくみ、重だるさ、体の重さ、胃腸の弱さなどが前に出る方にみられます。

大切なのは、eGFRが同じでも、

  • 冷えが強い方
  • むくみが強い方
  • 食欲低下が前に出る方
  • だるさが強い方

では、支え方が違うという点です。

漢方薬は自己判断で始めないことが大切です

漢方に関心のある方は多いですが、腎機能低下がある場合は、ここを丁寧にお伝えしたいです。

漢方薬は体質に合わせて使う考え方が強みですが、腎機能が低下している方では自己判断で選ばないことが大切です。

理由は、腎機能が下がると、薬の代謝や排泄の条件が変わることがあるからです。一般薬と同じく、漢方や健康食品も、併用薬や検査値を確認しながら考える必要があります。

つまり、

  • 検査値を確認する
  • 現在の治療内容を整理する
  • むくみ、血圧、カリウムなどをみる
  • 専門家と相談する

この流れが大切です。

くすりの厚生会として大切にしたいこと

eGFRの記事を2026年版として見直すなら、いちばん大切なのは、「数字の説明」だけで終わらせないことです。

本当に必要なのは、

  • eGFRだけでは足りない
  • 尿アルブミンも重要
  • 初期は症状が出にくい
  • 原因の確認が必要
  • 生活習慣と薬の見直しが大切
  • 中医学は検査を土台に支える形で使う

という全体像です。

腎臓の不調は、気づいたときには進んでいた、ということが起こりやすい分野です。
だからこそ、「まだ大丈夫だろう」と思い込まず、数値を丁寧に読み、必要なら医療機関で相談し、そのうえで体質や生活の立て直しを考えることが大切です。

まとめ

eGFRは、腎機能を知るための大切な数字です。
けれど、eGFRだけで腎臓の状態を決めることはできません。

今のCKDの考え方では、
eGFRと尿アルブミンを一緒にみること
G分類とA分類を合わせて考えること
が基本です。

初期には症状が出にくいため、むくみやだるさがないから安心、とは言えません。血液検査と尿検査を定期的に確認し、血圧や血糖、薬の使い方、生活習慣まで含めて見直していくことが大切です。

中医学の視点は、その土台のうえで役立ちます。
検査値を無視せず、現代医学の評価をきちんと受けながら、体質、冷え、むくみ、疲れやすさ、胃腸の弱りなどを整えていく。そうした積み重ねが、腎臓をいたわる生活につながります。

健康診断でeGFRを指摘された方は、まず落ち着いて、

  • 尿アルブミンはどうか
  • 前回より下がっていないか
  • 血圧や血糖はどうか

を確認してみてください。
数字に振り回されるのではなく、数字を正しく読むことが、腎臓を守る第一歩です。

参考資料