顔色も漢方では診断の目安に
中医学(中国漢方)では、顔色で症状や体質を判断することがあります。
基本として青・赤・黄・白・黒タイプに分かれています。
これは、中医学の考え方の陰陽五行からきています。
青タイプ(肝)
顔色が青っぽく、目の周りやこめかみの静脈がうっすら見える
いつも「気」を張っているので、自律神経が乱れやすく、季節の変わり目に弱い
赤タイプ(心)
赤ら顔。
神経質で興奮しやすく、ネガティブな思考にとらわれがちなので、バッドニュースに弱い。
黄タイプ(脾)
顔や手足、白目が黄色っぽい。
胃腸が弱く、下痢をしやすいため、子どものころはガリガリですが、暴飲暴食しがちなので、大人になるとメタボ体型になる可能性があります。
白タイプ(肺)
顔が色白というより血の気が薄く蒼白。
汗をかきにくく、水分代謝がよくないため、皮膚病を起こしやすい。
黒タイプ(腎)
顔色がどす黒い。
黒タイプはビクビクしやすく、怖がりな性格の人が多い。
顔色だけでは判断できない
このように顔の色艶から健康状態を知る診断法が中医学にはあります。
しかし、それはあくまで原則でしかありません。
顔色だけでは、複雑な症状を理解することはできません。
たとえば、顔が赤いから熱があると判断したとします。
それに対して、熱を冷ます薬、とういうだけで、漢方処方をすると、悪化することさえあります。
同じ熱でも、実熱(陽の過剰)を虚熱(陰の不足)があり、それぞれ治療法に違うからです。
この熱の判断には、別の落とし穴もあるんです。
私も実習中、間違えて、先生に注意されたのが、仮の熱症状。
症状として頭部のほてりやのぼせると問診したとします。
ここで、よく観察することが大切。
体の芯や下部には冷えの症状があるかどうかを確認する、いわゆる「真寒仮熱」の証の判断をすることです。
中国漢方では、体を温める生命エネルギーの中心が腰のあたりにあるとされています。
これを命門の火といいます。
病気や老化によって、このエネルギーが極端に低下すると、火が分離してしまい熱が上半身にのぼることで、頭部に浮き出てくることがあるんです。
このような熱の特徴として、頭部でも特に頬のあたりが赤い・のぼせ感がある・ノドがはれて痛む・鼻血・目の充血といった熱証があるのですが、他にも、冷えの症状として、下半身の冷え・下痢・倦怠感などの症状を合わせもっています。
下半身の冷えを伴う上部の熱感を、中医学(中国漢方)では「戴陽証」といいます。
つまり、ここで寒涼薬を用いるのは間違いということになるんです。
このような時には、陽気の不足が根本にあります。
まずは陽気を補い、体を温めるようにします。
熱があるのに、温める、一見矛盾した方法のようですが、このへんが漢方薬の使い方の難しいところなんです。