正常を知る
中医学(中国漢方)での診断で、最も大切なこと。
それは、正常が何か、ということです。
正常を判断できないのに、病状を判断することはできません。
正常と何が違うのか、正常との違いから、体質や体の状態を知るコトができるのですから。
そもそも正常な舌とは
正常な舌とは、ふっくらとしていて、柔らかさがあり、舌全体がきれいなピンク色(淡紅色)、適度な湿り気を帯び、動きも滑らかです。
舌には、うっすら薄い白色の苔(苔を透して舌本体がみえれば正常)がのっている状態が、理想。
あくまで、理想。
大事なコトですので繰り返しますね。
理想。
舌の色で体の寒熱の状態を判断
中医学(中国漢方)の診断では「病は舌に現れる」と考えられています。
舌の状態をさまざまな角度(舌の裏)、色、形、苔、そして動き、から見るこで、病気の状態、程度などで、治療方針のための情報の1つが舌診なんです。
舌を観察すれば健康状態は一目瞭然と言われていますが、私では無理です。
私の場合、舌診意外の情報も組み合わせて判断しています。
舌診では舌の状態も大事なのですが、経験上、舌の色の方が判断しやすい情報ですし、大事なコトだと思っています。
ナゼなら中医学(中国漢方)では病気を診察しながら、体の寒熱の状態を必ず知っておかないとダメなんです。
体が熱傾向にあるのか、冷え傾向なのかで、使用する漢方薬は大きく違ってきます。
この寒熱を判断するのに、舌の色が重要なんです。
舌の色は、赤(鮮赤)・ピンク・白(薄いピンク)の3つに大別します。
実際には、もう少しアナログ的な判断をしているのですが。
基本として健康な人の舌はピンク色です。
体調や病気によって色は常に変化していきますので、朝と夜で違うコトもあるんです。
舌の色が赤っぽい場合、体が熱っぽい状態だったり、熱がこもっている人が多いんです。
熱が体に影響を与えている原因として、栄養やエネルギーの過剰、急性の炎症による熱症状(内熱)が考えられます。
逆に、白っぽい舌は冷え症タイプの場合、老化や臓器の働きの低下によって、体がエネルギー不足や貧血傾向と考えられるんです。
舌の色だけでも、体の現状を知るコトができるんです。
舌の色が赤い熱性タイプの人には、体の熱を冷ます作用のある漢方薬。
逆に舌の色が白っぽく冷え傾向のある人には、エネルギーの生産量を上げて、体を温める作用のある漢方薬を選ぶ必要があります。
寒熱を間違うと症状が悪化することも
漢方薬には、副作用があります。
寒熱を間違うと、症状が悪化しやすいんです。
舌診の大事なこととして、色の判断が個人の感覚に左右されるということです。
つまり、知識として、知っていても、実際に判断するためには、経験というか修行が必要になります。
正常な舌診を判断できる方の指導が必須。
脈診と舌診は、ネットや本だけでは、とても難しいことなんです。