血(漢方)と血液(西洋医学)との違い

血液の中医学での働き

中医学では、数千年前から「血」と健康の関係を重要だと考えています。
「最高の体調はきれいな血液から」という淤血(おけつ)の1つの考え方があります。
現代では生活習慣病と老化の予防は血液から、と言えるのだと思います。

病気の予防は気と血のバランス

2千年以上も前に記された「黄帝内径」(こうていないけい)には、気血とそれが運行される血脈(けつみゃく)について書かれています。
そこには、健康維持、生命維持には、気、血、がとても重要であることが書かれているのです。
気と血のバランスさえとれていれば、病気にはならないのです。
これは調和が崩れると、いろいろな病気になる、ということです。
この事を「気血調和、百病不生、気血不和、百病変化而生」と言われています。
気血のバランスのとれた安定した状態が重要、ということです。

淤血(おけつ)

淤血(おけつ)を現す漢字として「濃、粘、凝、聚」があります。
なんか難しい漢字もありますね。
淤血は、体全体または体の一部に起こる血の流れの悪いこと(血液循環障害)であり、細い血管の働きが悪くて血管の詰まることがよくあります。
淤血症の血液は、例えば「濃く」「粘り」「凝まり(かたまり)」「聚り(あつまり)」やすい状態にあります。
「濃」「粘」とは赤血球のヘモグロビン(血色素)濃度や血漿粘土の高い状態、つまりねばねば、どろどろの状態を表し、「凝」「聚(集)」とは血液が固まり血栓ができやすい状態を意味します。
血液は1分間に全身を一周します(安静時)。
このような状態の血液では、当然ながら流動性も低下します。

西洋医学からみた淤血(おけつ)

西洋医学の立場からみると、淤血は各種の疾患や老化の原因となる脂肪過酸化物や活性酵素の考え方に近いものであり、血液(血漿)の凝固・凝固阻止作用の比率によって淤血症を判断することができます。
中医学の大切な書物「黄帝内径」。
この中では「血」の働きについて次のように考えています。

1)体全体に酸素と栄養を運び、さらには滋養する作用を持っている

2)人の精神を養う作用
心が素直に働くには、全身に十分な栄養が必要です。
つまり、血の滋養が必要不可欠なのです。

3)気を生み出す
気は血の栄養分によって生まれ活動します。
「血は気の母」とも言われています。

4)気を全身に巡らす
気は血の栄養分で生まれるため、血液に乗って全身の組織、細胞に運ばれ、それぞれの新陳代謝をつかさどっています。
血液で気が運ばれるということは、逆に気が巡れば血も巡る、ということで、気が滞れば血も滞るということです。
血と気は相互に依存し合っているのです。
陰陽で言うと、血が陰、気が陽を現しています。
どちらもバランスよく働いて、初めて健康と言えます。
気血の陰陽のバランスが崩れて体調を崩すことを「気血不和、百病変化而生」といいます。

5)外邪の侵入を防ぐ
中医学では血液が全身に行き渡り、陰陽のバランスが良い場合、外邪(がいじゃ)の侵入は防げます。
これは、現代の医学に置き換えると最近やウイルスから体を守るということになります。

実際に赤血球や白血球の免疫機能が体を守っています。

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