夜間の頻尿には補腎縮尿法

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夜間頻尿の定義

夜間頻尿とは「夜間排尿のために1回以上起きなければならないという訴えである」と定義されています。
高齢者を悩ませる夜間頻尿は加齢とともに増加傾向にあります。
あまりに回数が多いと生活の質(QOL)の低下に繋がります。
そのため、回数が多くても、本人しだいなんです。
通常2回未満は正常と言われていますが、本人が辛いようであれば、治療された方が良いでしょう。

漢方では夜間の頻尿には補腎縮尿法で対処

夜中に何度もトイレに起き、睡眠不足に悩まされて、相談にこられる方が増えています。
特に、外にでることができないせいか、以前より気にされているようです。
高齢の人や、虚弱体質の人のなかには、トイレに間に合わず、漏らしてしまうこともあるんです。

中国漢方には、「腎は二便(大便・小便)をつかさどる」といわれています。
つまり尿の生成や排泄を、腎の陽気(腎陽)の働きによるものと考えているからです。
これは、腎陽が不足している(腎陽虚の)人のことで、寒さの影響を強く受けて、発汗量が減少したり、腎臓での水分の再吸収がうまく行われていないことなんです。
結果として尿量が増えることに。

さらに腎陽には膀胱の機能を助けて、尿が漏れないようにする働きがあります。
この漏れないようにする機能が低下すると、ちょうど水道の蛇口が緩んだような状態と同じに。
そのため頻尿になりやすくなるんです。

中国漢方では、夜間頻尿の治療には、腎の陽気を補い(補腎陽)、膀胱の働きを強め尿の漏れを防ぐ(縮尿)「補腎縮尿法」が用いられることが多いんです。
漏れを防ぐ、という発想は、漢方独特の考え方。
生薬としては、腎陽を補う鹿茸や巴戟天(冷えの強い時には附子・肉桂を加える)、膀胱の働きを助けて、尿の漏れを防ぐ作用を持った桑螵蛸散という代表的な処方があります。
日本には無い処方ですね。
一部の専門店では、鹿茸や巴戟天などの補腎陽薬と、桑螵蛸や覆盆子などの縮尿薬が配合された至宝三鞭丸という処方を扱っています。
他にも一般的な処方の、八味地黄丸、中国漢方の海馬補腎丸のような補腎陽薬に、縮尿作用がある竜骨牡蠣エキスを合わせて用いるのも1つの方法です。

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