誰でも全てが終わる突然死

自覚症状のない心臓病 命とりになることも

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)で死亡する中高年が増えています。
あなたにとっても人ごとではありません。
心臓病を未然に防ぐリスク管理の需要性について考えてみましょう。
虚血性心疾患とは、心臓を養う血管(冠状動脈)が動脈硬化によって細くなり、心筋に届く血液、酸素が不足するために起こる心臓病です。
40歳以上の人に多く見られ、男性の発病率が女性の2倍と高く、なかでも知識労働者に多いようです。
この病気は、人によっては動悸や胸の痛みといった自覚症状がなく、心電図検査で初めて心筋の虚血性変化が見つかることがあります。
いわゆる無症候性虚血性心疾患ですが、自覚症状がなくても心筋虚血を引き起こすメカニズムは、胸痛などの症状がある場合と大差ありません。
臨床でよく見られるのは狭心症と心筋梗塞で、突然死の57%前後を占めています。

古人は心臓病を知っていた

中医学には虚血性心疾患という病名こそありませんが、臨床的に見て、その症状は「胸痩」「心痛」「真心痛」の範ちゅうに入ります。
中医学では、今から二千年あまり前、この病気に大して既に一定の認識がありました。
たとえば『黄帝内経』の「素問篇」には「心痛は、胸中の痛み、胸支満、脇下痛、膺背骨甲間痛、両臂内痛」という記述があります。
字面からも大まかな意味がわかるように、心痛や苦しさは胸部全般に及ぶものであり、これらの表現は今でいう虚血性心疾患の発作とよく似ています。
また「霊枢篇」には「真心痛は、手足の青さが節に至り(節々まで青くなり)、心痛は甚だしく、早朝発し日暮れに死す、夕に発し旦(明け方)に死す(一昼夜で死亡する)とあり、これは心筋梗塞と似ています。
このことからも虚血性心疾患は古くからの病気であり、昔も人々の健康に大きな脅威を与えていたことがわかります。

3つの危険因子

虚血性心疾患については、今でも完全には解明されていませんが、遺伝的要因、環境要因、生活習慣の3つと密接なつながりがあります。

遺伝的要因

近年の研究によって、体質的にLDL(悪玉コレステロール)や体内の中性脂肪が高くなる遺伝的確率は約30%前後であることがわかっています。高脂血症にも一定の遺伝性があります。
虚血性心疾患の遺伝率は65%と高い確率を示していますが、病気の発生と進行には、環境要因や生活習慣の影響も無視できません。

環境要因

精神的ストレスの積み重ねは動脈硬化を促進し、虚血性心疾患の引き金になります。
特にA型性格の人は要注意です。
このタイプの人は、性格もせっかちで、競争心が強く社会的に認められることに精力的であり、総じて頑張り屋です。
会社での評価は悪くありませんが、虚血性心疾患という観点からいうと、マイナス面も多いのです。

生活習慣

食生活、運動、休息、喫煙、飲酒とも関係があります。
偏食による動物性脂肪、コレステロール、糖分、塩分などの取り過ぎや運動不足からくる肥満は、この病気を促進します。
また、野菜や果物の摂取不足、喫煙、飲酒、疲労、睡眠不足なども、病気の下地となる動脈硬化を促します。

死の四重奏

肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症は、虚血性心疾患によくみられる4つの危険因子です。
これらの因子が揃った時は、狭心症や心筋梗塞にかかる確率が非常に高くなり、”死の四重奏”と呼ばれています。

その他にもHDL(善玉コレステロール)の値が30mg/dlより低い、あるいは血中のフィブリノーゲン(繊維状たんぱくで血栓のもとになる)の値が1デシリットルあたり6gを超える場合も危険因子となります。

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