4つのタイプ
高脂血症は、臨床では普通、次の4つのタイプに分けられます。
1.高コレステロール血症(全体の約4割):中性脂肪値は正常
2.高中性脂肪血症(全体の約2割):総コレステロール値は正常
3.混合型高脂血症(全体の約4割):総コレステロール値と中性脂肪値が共に高い
4.低HDL血症:動脈硬化を抑えるHDL(善玉)コレステロールが減った状態も治療の対象となる。高コレステロール血症あるいは高中性脂肪血症を伴う
高脂血症には、一次性(原発性)と二次性の2種類があります。
一次性高脂血症は、遺伝的な体質、甘い物や油物の摂りすぎ、栄養過剰、肥満等と関係があります。二次性高脂血症は、主に糖尿病、肝臓病、腎臓病、痛風などに見られます。
高脂血症と血栓と漢方
最近の研究によると、高脂血症の人の血液は固まりやすい状態で血栓(血液の塊)ができやすく、特に脳梗塞や心筋梗塞と密接なつながりがあることがわかっています。
高脂血症は、2つの面から血栓疾患を生じると考えられます。
1つは血管内皮を傷つけ、動脈硬化を生じるものです。
もう1つは、凝血作用の促進です。
高脂血症で血中のコレステロールやLDLが高くなると血管内皮を損傷して、そこから凝集を促進する因子の放出が増えます。
同時に抗凝血作用を持った物質PGIの分泌が減少し、血液は固まりやすい状態になります。
多くの実験によって、高脂血症では血小板の粘着性と凝集性が高まり、血小板内でトロンボキサンA2が増えることがわかっています。
トロンボキサンA2には、強い血管収縮作用があり、凝血を促進します。さらに、血中のフィブリノーゲン(血液を凝固させる線維素原)のレベルとコレステロール値には相関関係があるという研究報告もあります。
コレステロールが高まれば、フィブリノーゲンも高まります。これらの諸要因は、いずれも血液を高凝集状態にします。そのために高脂血症の血液は、ドロドロ、ネバネバ状態です。
また、高脂血症の血液では、抗凝血、血栓と溶解する成分、たとえばアンチトロンビンやtPAなどが減少します。
そのため高脂血症になると、心臓や脳の血管がつまり、心筋梗塞や脳梗塞が生じやすくなるのです。
中医学では、高脂血症は、「痰湿」「瘀血」の範ちゅうに属する病気です。
そのため、血行を改善する「活血化瘀薬」と痰湿を除去する「化痰利湿薬」と併用することで、血栓の形成や動脈硬化を予防できることがわかっています。