先んずれば病気を制す 中医学の智恵“既病防変”
「既病防変」とは、中医学の考え方に基づき弁病弁証論治(病気のメカニズムをつかみ、体に現れる生体の機能状態「証」を分析して治療法をたてる)をおこない早期に治療し、悪化をくい止め、再発を防止することをいいます。
これまで繰り返しのべてきた「未病先防」とともに中医学の重要な考え方の一つです。
中医学は全体療法
西洋医学と中医学では、病気に対する考え方が異なります。
西洋医学では、病気は体の一部の器官の病変であり、あくまで局所的なとらえ方をします。
それに対して中医学は、人の体も自然界の一部とする身体観と陰陽五行論にもとづき、病気は体全体の陰陽のバランスの崩れによって引き起こされるものと考えています。
こうした考え方の違いからもわかるように、西洋医学と中医学では、病気に対する対処法がまったく異なります。
たとえば、ガンに対する西洋医学の治療法は、手術、放射線治療、化学療法など、いずれも局部的治療です。
一方、中医学では、ガンを体全体の陰陽失調からくる局部的現象ととらえるため、体全体のバランス調整を主眼に、免疫力と高める治療方針をとります。
その上で抗がん剤など西洋医学の治療法を取り入れた「中西医結合」治療では、ガン克服の一応の基準である五年間生存率が明らかに高くなります。