葛根湯も使い方を間違えると症状が悪化することも

皮膚を守り、カゼを防ぐ「黄耆」

中国は北京。
高層住宅が建ち並ぶ場所があります。
高級住宅街では冬の暖房は全戸一斉に11月15日から始まります。
北京の寒波は例年10月下旬にやってくるため、暖房が始まるまでの約2週間はつらく、カゼをひく人が多くなる期間。
カゼの原因は病邪が皮膚から侵入して発病すると漢方では考えられています。
これを阻止するため、皮膚の表面には衛気という気(エネルギー)が流れ、汗腺の開閉による体温調節などによって、体表をしっかりガードしています。

衛気が不足すると、汗をかきやすくなります。
また、寒冷刺激に対する防衛力が落ちるため、カゼをひきやすくなるんです。
温度変化にも順応しにくくなり、ちょっとした気候の変化で、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状も現れてしまします。
このような症状に対して、中国では玉屏風散という処方がよく使われています。

屏風を立てて風邪を防ぐという意味なんです。
その中で衛気を強める生薬として黄耆が代表格として入っています。

葛根湯だけがカゼ薬じゃない

黄耆が主成分の補中益気丸や衛益顆粒があります。
衛気不足の人がカゼをひいた場合、発汗作用の強い葛根湯などをむやみに服用すると、かえって衛気を消耗し、症状を悪化させる恐れがあるんです。

他にも衛気の活動には、命門の火も関わりが深いんです。
この火が弱まると体が冷え、衛気の働きも弱くなるとされています。
したがって、衛気を強めるには、海馬補腎丸など腎を温める作用をもった補腎薬を併用するとよい。

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