漢方で丸薬が減っている理由、職人不足

中国の国技かもしれない漢方薬

日本の国技・相撲は、力士だけでなく、行司や呼び出し、床山など、さまざまな裏方によって支えられていて、一つの社会を形づくっています。
漢方も中国の国技のようなものだと思っています。
裏方さんが、メッチャ重要。
漢方という社会も、相撲の環境と似ていて老中医 (経験を積んだ漢方の外医)を中心に、中医師、薬剤師、生薬の加工や栽培、鑑別を専門とする人など、数多くの人たちによって支えられています。
最近、漢方をとりまく環境に変化がでてきているんです。
今回はその中から、生薬の加工(炮制ほうせい)の問題についてです。

自然だから安定していないのが普通

日本では一般的に、生薬を生の状態で使うことが多いんです。
ところが中国では、炒めたり、酒で蒸したり、酢につけるなど、加工して使うことが多くなります。
手を加えることによって薬効を高めたり、毒性を除去したり、効能を変化させたりすることができるからなんです。

たとえば地黄は、生のまま使う生地黄(しょうじおう)と、酒で蒸した熟地黄があります。
生地黄には、体のほてりや精神的なイライラを鎮める清熱涼血の効果があり、加工した熱地黄になると、貧血症状を改善する補血効果が強く出てくることが分かっています。
同じ生薬でも加工することで、使い方が変わってしまうんですね。

加工法で変わる治療法

生地黄は不眠・動悸・息切れなどに効く天王補心丹などに、熟地黄は婦人病の聖薬といわれる婦宝帰膠(ふとうきこう)などに配合され、それぞれの特徴をもっています。
日本の漢方では、生薬の加工をあまり重視していない感じがしています。
各国の薬にかんする法律の違いなどがあるため、どちらが良い、悪いと言うことではなく、使い方しだいだと思ってくださいね。

減っている丸薬

使いやすく、飲みやすい丸薬が減っています。
どんどん、エキス顆粒に。
エキス顆粒ですと、細かい量の服用が難しくなります。
丸薬だと、子供や大人への服用量の変更が楽ですが、顆粒ですと、1/2など微妙なコトになります。

丸薬は、生薬の扱いに熟知した職人さんの匠の技が必要なんです。
季節、地域で同じ生薬でも、含まれている成分が微妙に違います。
判断は、人、がしていたんですね。
技術者の高齢化がすすみ、継承する人も少なく、丸薬を一定品質で作れるメーカーが少なくなってしまいました。
丸薬の方が、値段もリーズナブルだったような😅。

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