現代医学+中医学で読み解く「冬の乾き」と「季節の水分補給」
冬になると、指先が割れたり、かかとがガサガサしたり。
「毎年のことだから仕方ない」と思っていませんか?
でも実は、乾燥の原因は外の空気だけではなく、体の中にもあるのです。
くすりの厚生会では、肌トラブルを“外側の問題”としてではなく、
「体のバランスのサイン」として捉え、体の内側から整えるお手伝いをしています。
今回は、現代医学と中医学の両面から、
「なぜ冬は乾燥するのか?」「夏との違いは?」を詳しく解説していきます。

🌬 現代医学でみる「冬の乾燥肌」
冬の空気は“湿度が半分以下”
冬は気温が下がると空気中に含まれる水蒸気量が激減し、
室内では暖房の影響でさらに乾燥。
湿度30%以下の日も珍しくありません。
研究では、冬の低湿度環境に6時間いるだけで、
角層の水分が減り、皮膚表面がザラつくことが確認されています。
つまり、肌の水分が奪われるスピードが、夏の倍以上なのです。
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汗と皮脂の分泌が減る
冬は汗をかきにくく、皮脂腺も活動を休めがち。
そのため、皮膚を守る「皮脂膜」が薄くなり、
肌が外気に直接さらされ、バリア機能が低下します。
皮膚のバリア機能が落ちると、
外からの刺激(洗剤・摩擦・寒風)にも弱くなり、
指先やかかとの“パックリ割れ”が起こりやすくなります。
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寒冷利尿”による体内水分の減少
寒さを感じると、体は熱を逃がさないために血管を収縮させます。
すると一時的に血液量が増え、腎臓が「余分な水分を出そう」として尿を増やします。
これが寒冷利尿(かんれいりにょう)。
結果として、体内の水分が減りやすく、
「喉が乾かないのに脱水している」という状態になります。
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🍃 中医学でみる「冬の乾燥」と体の状態
中医学では、冬は「腎(じん)」の季節。
冷えや乾燥により「腎」が弱まると、
体の中の水分バランスが崩れ、肌・髪・爪・関節までも乾くと考えられています。
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冬は「腎」を守る季節
「腎」は体の“水分貯蔵庫”であり、“生命エネルギーの源”。
寒さで腎が冷えると、水分を保持する力が弱まり、
体の潤い(津液)が不足しやすくなります。
• 腰や膝が冷える
• 乾燥して肌がカサカサする
• 髪や爪が弱くなる
• 夜間頻尿が増える
こうしたサインは、腎の冷えや腎陰不足(じんいんぶそく)の現れです。
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「燥邪(そうじゃ)」が肌を傷つける
中医学でいう「燥邪」とは、空気の乾きのこと。
この燥邪が皮膚の表面に侵入すると、
肌の潤いを奪い、かゆみ・粉吹き・ひび割れを引き起こします。
さらに、乾燥は体内の「血」や「津液(水分)」まで消耗させ、
冬特有の“体の奥のカサつき”が現れます。
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「血虚」や「陰虚」にも注意
40代になると、ホルモンバランスの変化で「血虚(けっきょ)」になりやすく、
血液や潤いを十分に巡らせる力が低下します。
• 顔色が悪い
• 手足が冷える
• 髪がパサつく
• 眠りが浅い
これらも乾燥の延長線上にある“体のサイン”です。
中医学では、「乾き=老化の始まり」とも言われ、
潤いを守ることが若さと健康の秘訣とされています。
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💧 夏と冬で違う「水分補給」の大切さ
🔹 夏の水分は「外に逃げる」
夏は汗や蒸発によって体の水分が大量に失われます。
汗で塩分・ミネラルも失うため、
水+ミネラル(塩・カリウム・マグネシウム)補給が大切です。
体が自然に喉の渇きを感じやすく、飲むことを忘れにくいのが夏の特徴です。
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🔹 冬の水分は「内から減る」
冬は汗をかかないため、「水分を取らなくても大丈夫」と思いがちですが、
寒冷利尿や呼吸、乾燥した空気による蒸散で、知らぬ間に水分を失っています。
特に40代以降は、筋肉量が減ることで体内水分量が少なくなり、
脱水症状が出にくいのに、
実際は「肌が乾燥し、代謝が落ちている」ケースが増えます。
🔸 中医学的にも、冬は“内なる乾き”が進む季節。
「潤い」を保つ水分補給が、冷えや肌荒れ、便秘、疲労感を防ぎます。
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🌿 冬の正しい水分補給法
タイミング 飲み方 理由
朝起きた直後 常温の白湯を一杯 夜の乾燥で失った水分を補い、腸を目覚めさせる
午前中 こまめに一口ずつ 寒さで利尿が強いため、一気飲みよりも分けて
食事中 汁物(味噌汁・スープ)で 水分と塩分を自然に補給できる
入浴前後 コップ半分〜一杯の白湯 発汗による体内乾燥を防ぐ
就寝前 ひと口だけの白湯 体を冷やさず、夜間の乾燥予防に
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☀️ 夏 vs ❄️ 冬の水分バランスの違い(中医学的解釈)
季節 主な原因 体の状態 対策
夏 「暑邪」「湿邪」 汗で津液が減る。体が外に熱を逃がす 冷やしすぎに注意しながらミネラル補給
冬 「寒邪」「燥邪」 体内の潤いが減り、腎陰・血が不足 温めて潤す。白湯・潤い食材・加湿を意識
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🥣 潤いを守る食養生(冬の乾燥対策)
食材 中医学的効能 効果のポイント
白ごま・ごま油 潤いを補い、腸を潤す 便秘や肌の乾燥に◎
クコの実 血を補い、目と肌を潤す 夜のドリンクに数粒がおすすめ
黒豆・黒ごま 腎を補い、潤いを守る 「黒い食材=腎の栄養」
はちみつ 潤いを与え、喉や肌を保護 白湯に少し溶かして
山芋・蓮の実 気と津液を補う 疲れ・冷えを感じる女性に◎
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🛁 冬のスキンケアと生活のポイント
1. 入浴はぬるめ(38〜40℃)で10分以内
熱いお湯は皮脂を奪い、乾燥を悪化させます。
出た直後30秒以内に保湿を。
2. 尿素・グリセリン+ワセリンで“抱え込む+閉じ込める”
指先やかかとには尿素10〜20%配合クリーム+ワセリン密封で集中保湿。
3. 室内の湿度を40〜60%に保つ
加湿器+濡れタオル+観葉植物で自然な加湿を。
4. 手袋・靴下で“物理的乾燥”を防ぐ
水仕事はゴム手袋の下に綿手袋を。
かかとは寝る前にクリーム→靴下で保湿密封。
5. 軽い運動で“気血”を巡らせる
手足の冷えやくすみは血の巡り不足。
軽いストレッチや深呼吸で内側から温めましょう。
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🌸 まとめ:冬の乾燥は「外」と「内」のダブル乾燥
冬の乾燥肌は、
外の乾燥(燥邪)+内の潤い不足(血虚・陰虚)によって起こります。
外から保湿するだけでなく、
体を温め、潤いを補う食事と水分補給が、根本的な改善につながります。
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☕ くすりの厚生会からのメッセージ
乾燥肌やひび割れは、
「肌だけの問題」ではなく、「体の潤いバランスの乱れ」のサイン。
• 肌がカサつく
• 髪がパサつく
• 手足が冷える
• 眠りが浅い
そんな症状が重なるときこそ、“中から潤すケア”が大切です。
くすりの厚生会では、
体質に合わせた漢方相談・食養生のアドバイスを行っています。
お気軽にご相談ください。