ご質問:TESE(男性不妊治療)で胚盤胞移植で妊娠できない場合、他に試せる方法はありますか?

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質問者の状況

TESE顕微手術により採取した精子を用いて、胚盤胞移植を何度か試みています。受精卵はランク5AB以上のものを複数回移植していますが、未だに妊娠に至っていません。今後、追加の検査を受けるべきでしょうか?また、これからできることはあるのでしょうか?病院からは、遺伝子に関する問題が原因かもしれないと言われています。

ここまで多くの挑戦をされてきたことと思いますが、結果が伴わず辛い思いをされているのではないかと思います。胚盤胞のランクが高くても妊娠に至らない場合、遺伝子的な問題や受精卵の品質に関する追加検査が重要です。また、精子の質を向上させる取り組みも考慮する必要があります。以下に今後の選択肢を詳述します。

解答

まず、ご質問ありがとうございます。妊娠に至らず、何度も挑戦していることに対するご心労を察します。以下では、今後の可能性について具体的に説明します。

精子の遺伝的な問題について

精子の数が少なく、TESE(精巣内精子採取術)を通じて得た精子を使用して胚盤胞移植を行っていることが確認できます。この状況では、受精は成功しても精子に起因する染色体異常が発生しやすく、胚の発育がうまくいかないことが考えられます。

この場合、受精卵自体の染色体異常の有無を確認することが必要です。遺伝的な問題が存在する場合、胚が高品質であっても正常な発育が難しいことがあります。特に、TESEによって得られた精子には品質に問題があることが多いため、染色体状態の確認は非常に有効です。

今後考えられる選択肢

PGT-A(着床前胚異数性検査)の検討

  • PGT-Aは、移植前に胚の染色体数を確認するための検査です。この検査により、染色体異常を持つ胚の移植を避けることができ、妊娠率の向上が期待されます。現在までに何度も胚盤胞移植を試みて成功に至らない場合、この検査を受けることは重要な選択肢となります。
  • ただし、PGT-Aを実施できるかはクリニックに依存し、提供していない場合も多いです。担当医に相談し、PGT-Aの実施が可能か確認することをお勧めします。
  • PGT-Aを行うことで、染色体異常のない胚を選別できるため、着床後の流産リスクも軽減されると考えられます。特に、何度も胚移植が失敗に終わっている場合、この検査を受けることは妊娠の可能性を高めるための重要なステップです。

精子の質の向上を目指す治療

  • 精子の質を改善するためには、生活習慣の見直しや特定のサプリメントの摂取が有効です。抗酸化作用を持つ栄養素(ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10など)は、精子のDNA損傷を減らし、質の向上に寄与することが示されています。また、規則正しい生活、禁煙、アルコールの制限、適度な運動も精子の質にとって重要です。
  • 精子の質には、栄養だけでなく日々のストレス管理も影響します。過度なストレスはホルモンバランスを乱し、精子の生成に悪影響を与える可能性があります。リラクゼーションや趣味、十分な休息を通じてストレスを軽減することが推奨されます。
  • また、漢方薬を使用した治療も精子の質向上に有効です。例えば、補気薬補腎薬は、精子の質や量の改善に効果が期待されます。これらの漢方薬は身体全体のバランスを整え、体内のエネルギーや血流を改善することで、精子の質向上に寄与します。

他の医療機関でのセカンドオピニオン

  • 現在のクリニックでの治療が難しいと感じる場合は、他の不妊治療専門の医療機関でセカンドオピニオンを求めることも有効です。異なるアプローチや技術を提供している場合があり、治療の選択肢が広がることがあります。
  • 特に、最先端の技術や新しい治療方法を導入している医療機関では、より効果的な治療が提供されることがあります。例えば、精子の質を顕微鏡で選別する技術(IMSI)や、最新の体外受精技術を使用しているクリニックを選ぶことで、妊娠の可能性が高まるかもしれません。

中医学的な考察と診断方法について

中医学(伝統中国医学)の視点でも、不妊治療には多様なアプローチがあります。中医学では、身体全体のバランスを見て「」と呼ばれる体質の状態を把握し、それに基づいた治療を行います。

気血のバランスの確認

  • 中医学では、気(エネルギー)血(けつ)のバランスが非常に重要とされています。不妊の原因として「気虚」(エネルギー不足)、「血虚」(血液不足)、または「瘀血」(血行の滞り)が考えられます。これらの状態があると、精子や卵子の質が低下し、胚の成長が妨げられる可能性があります。
  • 気血のバランスを整えることで、体内のエネルギーや血液の流れが改善され、精子や卵子の質の向上が期待されます。これにより全身の代謝も良くなり、妊娠に向けた体質改善が進むと考えられます。

診断方法:脈診・舌診

  • 中医学では、脈診舌診といった診断法を用いて体内のバランスを確認します。脈を触れることでエネルギーの流れや血液の状態を把握し、舌の色や形から内臓の働きや身体の状態を判断します。
  • 例えば、脈が弱く感じられる場合には気虚が疑われ、エネルギー不足が生じている可能性があります。また、舌が白っぽく乾燥している場合は血虚が考えられ、血液の不足が精子や卵子の質に影響していることが示唆されます。

治療アプローチ

  • 体質に応じて、漢方薬鍼灸が用いられます。例えば、気虚が原因の場合、補気薬を使用しエネルギーを補うことで身体全体の機能を改善します。また、瘀血が原因であれば、血行を促進する漢方薬を用いて滞りを解消し、精子や卵子の質を向上させます。
  • 鍼灸治療も特にストレスによる気滞(気の滞り)を改善するために有効です。ストレスがエネルギーの流れを阻害することで不妊の原因となる場合があります。鍼灸は気の流れを整えることで体内のバランスを回復させ、妊娠しやすい体質へ導きます。

くすりの厚生会での対応について

くすりの厚生会では、中医学に基づいた不妊治療のサポートを提供しています。具体的には、以下のような対応が可能です。

個別相談と体質診断

  • 不妊治療に関する悩みを丁寧に聞き取り、個々の体質や症状に合わせた漢方薬の処方を行います。脈診や舌診などの中医学特有の診断方法を用いて、現在の健康状態を詳しく把握し、最適な治療法を提案します。
  • 生活習慣、食事、ストレスの状況なども総合的に考慮し、精子の質向上や体内バランスの改善を目指した治療を行います。

オーダーメイドの漢方薬

  • 各体質に合ったオーダーメイドの漢方薬を処方し、精子の質向上や体内環境の改善を図ります。特に精子の質が低下している場合には、補気薬や活血薬(血行を良くする薬)が有効です。
  • さらに、体質に応じた漢方薬の使用によって、妊娠に向けた体質改善が進むと考えられます。例えば、腎虚と呼ばれる状態の改善には、補腎薬を用いることで精子の生成能力を高める効果が期待されます。

生活習慣のアドバイス

  • 精子の質を向上させるための生活習慣についてもアドバイスを行っています。例えば、栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理が重要です。特定の栄養素(ビタミンやミネラルなど)の摂取を推奨し、精子や卵子の質を向上させるサポートを提供します。
  • 中医学の観点から、体内のバランスを整えるために温性の食材(生姜、にんにくなど)を食事に取り入れることが勧められています。これにより体を温め、血行を改善し、精子の質の向上が期待できます。

鍼灸治療の提案

  • 必要に応じて鍼灸治療の提案も行い、体内のエネルギーの流れを改善することで不妊治療を支援します。ストレスによる気滞や血行不良に対して鍼灸は非常に効果的です。
  • 鍼灸治療はストレス軽減だけでなく、体内のエネルギーの流れを整え、全身の健康を促進します。これにより精子や卵子の質を向上させ、妊娠しやすい体質を作り上げることができます。

最後に

遺伝的な問題や精子の質に関する悩みは非常に複雑であり、心理的にも辛いものです。しかし、今後も考えられる選択肢があります。特にPGT-Aのような検査は、胚を精密に選別することで妊娠の可能性を高める助けとなります。まずは担当医と詳細を話し合い、可能な検査や治療について確認してください。また、生活習慣の改善も併せて行うことで、より良い結果につながる可能性があります。

さらに、中医学の視点からも体質改善や精子の質向上を目指すアプローチが存在します。くすりの厚生会での相談を通じて、漢方薬や生活習慣の改善のサポートを受けることも検討してみてください。ご自身のペースで無理なく進めていくことが大切です。一人で抱え込まず、専門家と共に最善の道を探っていくことを応援しています。

最終的には、一つ一つの方法を試しながら前向きに進んでいくことが重要です。希望を持ちながら、自分に合った治療法を見つけていけることを願っています。

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