小柴胡湯問題
漢方エキス製剤の保険適用は1976年から43年。
日本でも漢方薬を使用する医師が増続けています。
漢方という考え方が広まるのはとても嬉しい話です。
ただ、身近な漢方になったために、使い方には問題があるように感じています。
漢方は安全(副作用が無い?)
中医学(中国漢方)の考え方では、病名より本人の症状や体質で判断することになります。
しかし、実際には西洋医学的な病名で選ばれています。
漢方薬を西洋医学の考え方で用いるのは、相当な矛盾があるのではないでしょうか。
古くから漢方を大切にしている中国でさえ、新中国の誕生(1949年)前後、中国でも一時期「廃医存薬」という時代がありました。
薬だけは残して、伝統医学の考え方は一掃してしまおうという考え方です。
現在は、伝統的な漢方の考え方である中医学が、使われいます。
日本の漢方事情は、以前は中国の「廃医存薬」時代に近かったのではないでしょうか。
現在は、「医師」が漢方を、特に中医学を真剣に学んでいるように感じています。
病名と証は違う
以前、慢性肝炎に効果があるということで、小柴胡湯がよく使われていた時代が日本にありました。
とにかく、小柴胡湯を、どんどん使っていたんです。
そんな時、小柴胡湯の副作用の問題が新聞に掲載されることに。
慢性肝炎の一部のタイプには、小柴胡湯で改善効果があることが学会などで発表され、エビデンスもあります。
しかし、誰にでも使えるのか、というと、小柴胡湯は漢方薬であり「薬」なんです。
そもそも、中医学(中国漢方)では小柴胡湯の使い方が、慢性肝炎で使うとは、なっていません。
小柴胡湯には燥性があります。
そのため体液が不足気味で乾燥性タイプの人が長期連用すると、かえって症状が悪化する可能性があります。
つまり、大昔から、わかっていたことです。
当時の小柴胡湯での問題は、副作用というよりも誤用のような気がしています。
ネットや本だけでは、理解しにくいのが中医学(中国漢方)なんです。
何度もいいますが、漢方薬は「薬」です。
使い方を間違えると、悪化することもある、ということです。