漢方で良く使われる匙加減(さじかげん)って?

さじ加減

そもそも匙(さじ)はスプーン、それに類するモノです。
塩や砂糖など調理で使うのも「さじ」といいます。
さじ加減(匙加減)は、スプーンに、どのくらい盛る、加減のことです。
特に、薬の調合で使われる言葉で、他にも調理の味付けでも、使われています。

他にも「上役の匙加減ひとつでどうにでもなる」のような「手ごころ」「手加減」の意味もあるんです。

さて、今回は、この「さじ加減」が漢方薬にとって、どれだけ重要なコトなのか、解説していきますね。

「加減」は生薬の相性が必須

漢方処方、特に調合の場合、さじ加減が重要な要素になってきます。
それだけ、相手に合わせる「技術」が必要になるんです。
そもそも漢方でいう「加減」とは、基本となる処方に、別の生薬を加えたり、処方から一部の生薬を差し引いたりしながら調整することを意味です。
日本では、処方内容の変更が難しいことなのですが、中国では普通に行われています。

中医学(中国漢方)の場合、長期の臨床経験や研究などから、特定の証(症候群)の場合、特定の処方が適応するんです。
しかし、書物などに記載された証や処方は、あくまで1つのモデルでありベースでしかありません。
実際の臨床の現場では、相手は人間ですので教科書どおり対処できることは、ほぼ、ありません。
個性と同じで証というものは個人個人で違います。
「証」は親子でさえ、違うのですから。

証を決定するにあたっては、症候群を表面的な症状や状態に注意がいきがちです。
目の前にいる相談者の年齢、体質、性格、精神状態、仕事、社会的な地位をも含めた生活環境全般、さらに気候条件がその人にもたらす影響などを考慮に入れ、総合的な判断をすることが中医学なんです。
そのため、できるだけ、自分の生活圏内の専門家が必要になってきます。

これらの多くの要因が漢方処方を選ぶさい、証の微妙な変化に対応した加減が必要になります。
あなたに合った正確な加減を行うには、ひとつ、ひとつの生薬の薬効の理解はあたりまえで、その他に処方中の各生薬の相性を知っていること、さらに経験が要素になってきます。
人間関係と同じで知識や経験から、生薬の組み合わせには向き・不向き、相性を考えてバランスよく配合することになります。

生薬には副作用があります。
漢方薬の考え方として生薬の副作用を抑えるため、ときには相性の相反するものどうしを意識的に組み合わせるようにすることさえあります。
精密な処方学の知識と経験が無いと、本やネット、または他の人の処方を真似して、煎じ薬として出すのは「いい加減」かもしれないですよね。

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