10代の半数に血脂が
心臓は、そのまわりを取りまく冠動脈から酸素や栄養の補給を受けて動いています。
この冠動脈が何らかの理由で狭まったり、ふさがったりして、酸素栄養が心筋で足りなくなった状態を虚血性心疾患といい、死亡率の高い狭心症や心筋梗塞がこれにあたります。
ある解剖のデータによると、12〜14歳で亡くなった人の50%前後に、早くも血管壁に脂肪が蓄積された黄色の脂肪条紋が見つかっています。
また、別のデータでは、300例中、20代の若い人の約70%に、すでに血管の老化度を示す動脈硬化が始まっていることが確認されています。
動脈がイキイキとし、血液がサラサラと流れるためには、20代から良好な生活習慣を維持し、毎日の食事では野菜を十分とり、タンパク質は魚、豆類製品、牛乳、卵を中心にとり、動物性脂肪は控えめにし、ビタミンを微量元素(ミネラル)の摂取に努めることです。
ミネラルたっぷりの中成薬
最近の研究の結果では、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、クロム(Cr)などが不足すると、動脈硬化を生じやすいことがわかっています。
お茶には銅、亜鉛などの微量元素が豊富に含まれています。
小麦粉、レバー、牡蠣などには亜鉛が豊富で、鳥肉、魚類にはセレンが多く含まれています。
また、ビタミンC、E、B6、B12などには、動脈硬化に対する一定の予防効果があります。
中成薬のなかの活血化瘀(血行改善)薬、化痰降脂(血管内壁の粥状血脂を取り除く)薬、健脾補腎(消化機能や腎機能を高める)薬には、銅、亜鉛、セレン、クロムなどの微量元素が豊富です。
個々のからだの状況にもとづいて、選択します。
そうすれば、常に血管はイキイキし、血液はサラサラとなって健康長寿を保つことができます。
虚血性心疾患の三段階予防
第一段階
虚血性心疾患の第一段階予防とは、まだ虚血性心疾患にかかっておらず、単に総コレステロール値が上がっていて、予防的治療を行うという段階です。
動脈硬化の引き金となる悪玉コレステロール(LDL)の値が180mg/dlを超えたら、高度危険レベルといえます。
150〜180mg/dlは高度危険域と適正域との境界で、やはり危険ゾーンです。理想的な基準値は120mg/dl以下です。
悪玉コレステロールの値が境界域にあり、かつ2つ以上の狭心症の危険因子を持っている人は、血脂(コレステロールや中性脂肪)が降下する食事療法と、降脂活血(血脂を減らし、血液の流れをスムーズにする)の中成薬を積極的に利用することです。
第二段階
すでに虚血性心疾患と高脂血症を併せて患っている人の、予防的治療が、この段階に相当します。
血脂を減らす食事療法を応用し、野菜を中心にとるとともに、栄養バランスに注意してビタミンと微量元素を十分補い、併せて薬物治療します。悪玉コレステロールの理想基準値を115mg/dlにコントロールするように努めます。
第二段階予防は長く続けなければなりません。
継続治療を堅持する意志と忍耐力が必要です。
第三段階
この段階での予防法は、心臓が機能不全とならないよう、常に心機能を増強する薬を服用することです。
また、常に活血化瘀薬を服用し、突然死の引き金となる血栓(血液の塊)予防に努めます。