わかっているのに、止められない
米国生殖医学会(ASRM) にて
『女性のカフェイン、アルコール、タバコが体外受精の妊娠成績に与える影響について』
Fertil Steril 2018; 110: 587(米国)doi:10.1016/j.fertnstert.2018.05.026
見解が発表されました。
女性のカフェイン、アルコール、タバコが体外受精の妊娠成績に与える影響について
カフェインが体外受精に与える影響について調査した疫学(統計)研究5論文のうち1論文だけが、体外受精の出産率低下を示しました。
また、アルコールが体外受精に与える影響について調査した疫学(統計)研究6論文のうち3論文は、現在のアルコール摂取が受精率、胚の質、着床率に悪影響であるとしていますが、1年以上前のアルコール摂取の影響はありませんでした。
一方、多数の疫学(統計)研究から、現在の喫煙が体外受精の妊娠成績を低下させることが明らかにされています。
かつての喫煙者は現在の喫煙者より良好な体外受精の妊娠成績を示しますが、禁煙と妊娠成績の関連は明らかにされていません。
妊娠を目指している方のアルコールとカフェイン摂取には制限を設けるべきであると、米国生殖医学会(ASRM)では以下の指針を提示しています。
1 妊娠前のアルコール摂取1日1単位(20g)まで、妊娠中のアルコールはゼロ
2 妊娠前も妊娠中も中等量のカフェイン摂取1日100~200mgまで
3 喫煙は妊娠前も妊娠中も絶対にダメ!
これまでの常識とは逆になりますが、このように意見が食い違うのは今までアルコールとカフェインの論文が少なく今回のような大掛かりな調査が今まで無かった事が最大の理由です。
結論として、タバコに関しては間違いなくマイナスになりますので、禁煙はもちろんですが、アルコール摂取量の減少に心がけ、カフェインはほどほどに、といった生活習慣が望まれます。
ちなみに
アルコール1単位(20g)とは
ビール換算で500ml(ロング缶)
ワイン換算でワイングラス2杯弱
カフェイン摂取1日100~200mg とは
インスタントコーヒー カップ2杯~3杯
玉露 1杯
紅茶 5杯~6杯
缶コーヒーブラック 1杯
です。