漢方診断で見かける虚実の間違いは体調を崩す

虚に対しては補い、実に対しては瀉す

虚々実々」といえば、戦いや掛け引きの形容に使われる言葉です。
社会派ドラマや現実のビジネスシーンでも使われることがよくあります。
中国漢方では「虚々実々の戒」という言い方があって、意味合いが違うんですけどね。
この場合の「虚々実々」は、「虚を更に虚せしめ、実を更に実せしめる、ということで、誤治(治療の間違い)を戒める意味。

虚と実の判断が難しい

虚証、実証の判定は、漢方の最も基本的な物差しの一つなんです。

虚とは、気・血・水の不足、病気に対する抵抗力の低下状態。

実証とは、抵抗力はあるものの、体内に気の鬱滞や痰湿・旅血などの病理産物がある状態。


そして、「虚に対しては補い、実に対しては瀉す」のが原則。

たまに、他から処方された漢方薬を持って来られる方がおられます。
理由は、効果が無い、調子が悪くなった、など。

漢方相談に際して、時として見られるのが、この虚実の間違い。
ここで判断を誤ると、症状をさらに悪化させる結果になってしまいます。
たおえば気虚がある肥満の人に、表面上、体力が充実しているからといって、ダイエットなどで有名な防風通聖散のような瀉剤を安易に用いると、下痢をしたり、冷えが出たりして、体調が悪くなることがあります。
そもそも、ダイエットで使うコト、ほとんどないかも。

この場合は、健胃顆粒のような補気剤を用いる方が体質に合っているはず。
逆き、ストレスによって気が鬱滞している人に、元気がないからと補中益気湯のような補気剤を用いると、ふくらんだ風船に更に空気を入れるようなもの。
ますます気が鬱滞し、腹がはったり、胸苦しいなどの症状が出てきます。
この時には、開気丸のような理気剤で、気の流れを良くするのが原則なんです。

効かないのではなく合っていないだけかも

漢方って効かないと思っている方、多いんです。
その多くが、自分の状態に合わない漢方を使っているコトがあるように感じています。
人の体は複雑です。
1人1人違います。
症状も、同じようで違うコトがほとんど。
漢方は、1人1人に合わせるコトで、体調を調整しています。
人の体が複雑であれば、あるほど漢方も複雑になるんです。

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