不妊治療には血栓症の可能性があることを知っておく:卵巣過剰刺激症候群(OHSS)と血栓症

不妊治療中になるかもしれない血栓症

不妊治療のために使用される排卵誘発剤。
副作用として卵巣過剰刺激症候群(OHSS)があります。
その重症例として血栓症などの生命に関わる合併症に進展することも。
できるだけ早期に発症を把握して治療をする必要があります。
OHSSが重症でなくても血栓症が起こることもあります。

漢方での血の流れ

血液が固まりやすい性質かどうかを知る指標はいくつかあり、血液検査によってわかります。
血液粘度に関する指標は、全血液比粘度、血漿(血液中の水分)比粘度、赤血球容積率、赤血球凝集性や変形能力などをチェックします。
赤血球容積率は血液全体に占める赤血球の容積率で、この数字が高くなると血液粘度が上がります。
また、赤血球にはもともと柔軟性があり、小さな血管でも形を変えながら通り抜ける能力があります。
この変形能力が低下すると詰まりやすくなります。
血液凝固傾向を表す指標としては、血栓ができるのに重要な役割とはたす血小板の凝集性や粘着性の上昇、血漿中のタンパク質繊維素の上昇などをチェックします。
血液の流動性が変わり、血液がネバネバして凝集しやすい状態になると、血栓ができやすくなります。一方、血管の病理変化は血管内皮にみられます。
正常な血管では、血管内皮から凝固抑制物質が分泌され、血管の中で血液が固まるのを防ぐ仕組みができています。また内皮からは、いったんできた血栓を、すみやかに溶かす物質も放出されます。
こうした血管壁の正常な働きを低下させる一番の大きな原因が動脈硬化です。
血管壁に粥状硬化ができると、血管内皮の血栓防止作用が働かなくなるうえ、血流も乱れて血栓が起こりやすくなります。
血栓傾向の有無を調べるには、このようにいろいろな項目の指標を分析して、総合的に判断することが必要です。

生薬で血栓予防

活血化瘀(血行改善)作用のある中成薬には、丹参製剤(丹参、川芎、紅花、赤芍、木香、香附子などが配合)があります。
動物実験や臨床観察によって、血栓傾向を示す各指標に対して、丹参製剤は全面的に改善作用のあることが報告されています。
服用のあと血液粘度、血漿粘度、赤血球容積率、赤血球凝集性や変形能力、血小板凝集性や粘着性など、いずれもが改善されました。
また、血管拡張作用や微小循環を改善する作用もあるため、血栓形成に対する、すぐれた予防効果もあるということです。
個々の体質・症状を考慮して、処方を調整するなら、さらに良い効果が得られます。

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