不妊治療における着床障害の検査と治療:CD138慢性子宮内膜炎とERA

着床障害に新治療が広まっている

妊娠判定が、なかなか出会えない方にも良い方向性が見えてきました。

卵子は、良いのに妊娠しない。
妊娠しても出産まで辿り着けない。

検査しても、わからない、、、
そんな思いをしなくて良くなるかもしれないんです。

地方にまで広がる最新医療

以前は、最新の不妊治療は都市部でしか受けることができませんでした。
最近は、少しずつ変わってきたようです。

最新医療が地方まで広がるには、今でも時間がかかります。
都市部で受けることができる治療や検査は、地方で受けることができないことがほとんど。

不妊治療だけは、地方でも最新の治療や検査を受けることができるようになりつつあります。

最近、CD138検査(慢性子宮内膜炎検査(CD138陽性子宮内膜炎))とERA検査をセットでするクリニックが増えているんです。

これは近年、慢性子宮内膜炎と着床障害との関係が注目されているからです。

慢性子宮内膜炎は、細菌感染等による子宮内膜間質への形質細胞(CD138陽性細胞)の浸潤を特徴とした疾患です。

形質細胞とは、骨髄で作られる白血球の一種であるBリンパ球(B細胞)が成熟することによってできる細胞です。正常な状態では、細菌やウイルスが体内に浸入すると、一部のBリンパ球が形質細胞に変化します。

形質細胞は細菌やウイルスを撃退する抗体を作り出し、感染や疾患の発生を防ぎます。

慢性子宮内膜炎の原因は、細菌感染の可能性があるため、子宮内膜基底層に形質細胞が複数存在することが確認できれば、細菌感染によって内膜が炎症を起こしていることが分かります。

そのため、形質細胞(CD138陽性細胞)を免疫染色することで、慢性子宮内膜炎の診断がつきます。

では実際にエビデンスを見てみると

Impact of chronic endometritis on endometrial receptivity analysis results and pregnancy outcomes

National Library of Medicine

単施設でおこなわれた後方視的研究です。

2018年6月から2020年2月まで子宮内膜サンプリングを受けた101名の不妊女性のうち、ERA検査と慢性子宮内膜炎精査のためのCD138免疫組織染色を実施した88人を対象としました。募被験者は以下の3群に分けました。

①事前にCD138免疫組織染色を実施し慢性子宮内膜炎なしの33例(非慢性子宮内膜炎群)

②ERA検査時に未治療の慢性子宮内膜炎があった19例(慢性子宮内膜炎群)

③事前にCD138免疫組織染色を実施し慢性子宮内膜炎を認め治療後にERA検査実施した36例(慢性子宮内膜炎治癒群)。

慢性子宮内膜炎の診断は、ランダムに10部位を選択し、400倍の倍率で視野あたり5個以上のCD138陽性形質細胞が存在することと定義しました。

結果:

①非慢性子宮内膜炎群、②慢性子宮内膜炎群、③慢性子宮内膜炎治癒群では、CD138陽性細胞数はそれぞれ0.7±1.0、28.5±30.4、1.3±1.3でした(p<0.001)。

ERA検査にて「Receptive」の割合は①非慢性子宮内膜炎群では57.6%(19名)、③慢性子宮内膜炎治癒群では50.0%(18名)でしたが、②慢性子宮内膜炎群では15.8%(3名)にとどまり、他の2つの群に比べて有意に低い結果となりました(p=0.009)。

①非慢性子宮内膜炎群、②慢性子宮内膜炎群、③慢性子宮内膜炎治癒群でERA検査後の初回の個別化胚移植の臨床妊娠率は、それぞれ77.8%(21/27)、22.2%(4/18)、51.7%(15/29)でした(p<0.001)。

慢性子宮内膜炎の存在は個々のWOI(ERA結果)に影響を及ぼし、胚内膜非同期を引き起こしている可能性が示唆されます。

事前にCD138免疫組織染色を実施し慢性子宮内膜炎なしでERA検査後に初回移植のグループの妊娠率は77.8%でしたがERA検査時に未治療の慢性子宮内膜炎があった 初回移植のグループの妊娠率は22.2%と55.6%もの差が生じました。

ERA検査の前にCD138慢性子宮内膜炎検査は実施することを推奨する結果となり多くのクリニックがこのような結果からERA検査の前にCD138慢性子宮内膜炎検査を勧めています。

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